クリーンルーム設計・施工・管理のアオシマシステムエンジニアリング

クリーンルーム CLEAN ROOM

クリーンルームに虫がいる

色々な方から上記のご相談を受ける事があります。一体何が問題で、このクリーンルームに何が起きているのでしょうか。虫が継続的に入り続けているのか、室内で増殖しているのか、おそらくその両方であると思われます。このお客様から見ると『前室もエアーシャワーもありHEPAフィルターも装備されているのに何故虫がいるのか?』という事になります。0.5μの塵は除去しているのに1mmの虫がいるのでは話にならないという訳です。笑い話にも思えるこの問題、実は本質的な問題を内包しております。

この問題につきまして、以下、分析と整理をおこなってみます。

  1. 虫はどこから侵入しているのか?空気から、人から、原料・資材から、排水管から?
  2. 虫はどこに滞留しているのか?室内のどこで増殖しているのか?
  3. 虫が入っているならば、虫以外の異物は侵入していないのか?
  4. 侵入経路の調査と除去を、外注業者に委託するのみか?
    自社での日常的管理体制をチェックされているか?
  5. 室内の陽圧は本当に維持されているか? マノメーターは正常か?
  6. OA、EAの全てのフィルター、防虫アミは点検・清掃・交換されているか?
  7. 前室機能、サニタリー機能は本当に発揮されているか?
  8. エアーシャワーは本当に機能しているか?
  9. 原料・資材の受け入れチェックはされているか?
  10. クリーン度、温湿度の変化をチェックしているか?
  11. 動線に無理はないか?
  12. ユーティリティー系統のチェックはされているか?
  13. ブース、扉、床、天井裏、外壁空間はチェックされているか?
  14. 空気の対流チェック、差圧チェックはされているか?
  • クリーンブース全体に問題がある場合と、ブース全体のハードは問題が無いのに、使い方や管理に問題がある場合に大別されます。特に人・物・空気の出入部の設備とソフト、そして動線に問題が集中しています。
  • クリーンブース、HEPA、空気調和のハードが揃っていれば、自動的にクリーン環境が維持されると錯覚されるケースが多いようです。前室、サニタリー、エアーシャワーが設置されているだけで人、物、空気中の侵入異物が除去されると思われている方が多いのが現状です。これらの設備は、きちんと設計され制御されないと機能は発揮されません。むしろ、サニタリーとエアーシャワーがあるだけで『安心』してしまう事の方が懸念されます。
  • 一方で、ユーティリティー全体、フィルター、空気調和機、集塵、脱臭装置等のメンテナンス、洗浄管理の重要性であります。そもそもクリーンルームとは、レベルの差はありますがブースによってダーティーゾーンと隔離されて成立をします。その隔離されたクリーンゾーンで清浄機能が失われますと、その時点でダーティー(再生産)ルームへと変化します。
    スチーム端末フィルターがつまれば、室内にスチームが充満し粉体であれ塵埃であれ溶剤であれ、同様にダーティー濃度は上昇します。又、HEPAは交換しても空調機や調和機に雑菌が増殖しているケースもまま見受けられます。空気調和機は、本来の機能と共に最大の集塵機でもあり、プレフィルターを透過した異物が集積し、除湿されたドレンによって雑菌の温床となりうる装置でもあります。ダクト内部、排水管然りです。

対物用エアーシャワーの考え方と機能

通常エアーシャワーは、人・物が室内に入る時に、ダーティーゾーンとクリーンゾーンを区別遮断するために設置されます。対人エアーシャワーは、サニタリーの項でご説明致しますので、この項では対物用エアーシャワーの考え方と機能について検討します。

対物用エアーシャワーの寸法は、一般に搬入物の大きさと搬入方法によって検討されます。梱包体が1500×900×1200Hでリフト搬入であれば、開口2700×3000×2700Hの内寸設計にするといった具合です。扉を自動、自閉、手動スライドにするか、或いはシートシャッターにするか、開閉をセンサー方式、押しボタン方式、その組合せ方式、タイマー方式、インターロック方式、連動方式にするか、といった仕様を決定します。吹出しは片面、両面、天井面の組合せで決定します。

対物用エアーシャワーの考え方と機能

この条件をもとにメーカーが製作して搬入据付となります。HEPAの処理風量、吹出し口のスピードと数は製作メーカー仕様にて決定されます。そして、一般的な使い方は入口扉開〜運転・タイマー稼動〜出口扉開にて入室するケースが殆どです。どのように空気処理をされたかは不明のまま、この方法で行えばダーティーゾーンと隔離されていると認識してしまいます。せいぜい振幅の大きいマノメーターで圧損をチェックする事しかできません。しかし、本当にこれでエアーシャワーの目的は達成されているのでしょうか?エアーシャワーの能力設定と機能制御はこれでよいのでしょうか?逆にエアーシャワーを通過して入室している事だけで安心してしまっている事は無いのでしょうか?

エアーシャワーの位置付けと設計

弊社は、クリーン度維持のためにこのエアーシャワーを大きな要素と位置づけ、オリジナル設計製作をしております。開梱室、梱包材洗浄はエアーシャワー入室前の別機能と位置づけ、エアーシャワーはダーティー空気中の塵埃、異物を除去しクリーンルーム内に侵入させないハードと制御により設計選定されるものと位置づけています。

弊社はエアーシャワー室を単独のプレクリーンルームとして設計いたします。ダーティー空気中には数十万個の塵埃が浮遊しており、これがクリーンルームに侵入拡散された後でHEPA処理をしますと、クリーン度の変動巾が大きくなり、HEPAの劣化も早まります。事前にダーティーゾーンの塵埃量を測定し、クリーンルームのレベルに対応した塵埃除去を行います。例えば、クリーンルームがクラス1000であればエアーシャワー内で侵入空気を1000以下に処理するHEPAと循環風量を決定し、荷姿による吹出方法を決定致します。
そして、清浄処理が達成された後に自動制御にて出口扉を開くシステムを採用しています。又、エアーシャワールームは現地でクリーンブースパネルにて製作設計し、ルーム内もクリーンエアーにより微陽圧・空調ゾーンに組入れクリーンルームの一環として構成しております。
大量の塵埃を小さなシャワールームで処理を行えば、大きなクリーンルームに拡散した後の洗浄と比較し、極めて大きな成果が得られます。オリジナル設計製作ですので、高機能でありながら、廉価で、いかなる形状、仕様にも対応できます。防爆、安全増仕様も同等の対応にてご提供させて頂いております。

エアーシャワーの位置付けと設計
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